機械式駐車場のEV充電は本当に使われている?現場300件で見えた実態と東京都補助金の注意点

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機械式駐車場の現場録

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こんにちは、機械式駐車場メンテナンス歴10年の管理人サッシです! 今日もどこかの地下ピットで油まみれになりながら、皆さんの大切な車と安全を守っています。

さて、前回は「機械式駐車場とEV充電設備は、構造的にも安全面的にもめちゃくちゃ相性が悪いのでは?!」という、お話をしました。 前回の記事はこちら👇

機械式駐車場のEV充電ってどうなの?メンテナンス員が感じる現状と今後の課題

今回は、機械式駐車場にEV充電設備を後付けする現場のリアルに加えて、

東京都の補助金についても現場目線で触れていきます。

この記事の中心はマンションの機械式駐車場ですが、

戸建てにお住まいの方にも参考になるよう、EV充電や太陽光・蓄電池の検討ポイントにも少し触れています。

補助金があるのはありがたいことですが、補助金が出ることと、その駐車場で安全に運用できることは別問題です。

「機械式駐車場と EVの相性が悪いのは分かった。じゃあ、実際の現場ではどうなってるの?」

という部分について、300件以上の現場を見てきた私の目線で、実態を書こうと思います!

👉この記事の行動目標!

「補助金があるなら付ければいいじゃん!」で終わらせず、機械式駐車場の現場目線で、EV充電設備導入のリアルな壁を知ろう!

それではご安全に!

※この記事はこんな人向けです

☑️マンションの機械式駐車場を使っている方
☑️これからEVへの乗り換えを考えている方
☑️管理組合やオーナー側で、EV充電設備の導入に悩んでいる方
☑️東京都のEV充電設備補助金が気になっている方
☑️戸建てでEV充電や太陽光・蓄電池を検討している方
☑️「うちの駐車場にもEV充電器をつけられるのかな?」と気になっている方

 

東京都補助金

■ 衝撃の事実!9割のEVパレットに停まっているのは…

本題である「後付けの壁」などをお話しする前に、まずは私が現場で感じている「衝撃のリアル」からお伝えさせてください。

前回の記事でも少し触れましたが、EV設備がすでに導入されているマンションの現場にメンテナンスに行くと、

およそ9割の「EV充電用パレット」に、普通のガソリン車が停まっているんです!

「えっ、せっかくの専用設備なのに!?」って思いますよね。

もちろん、東京都心部などのEV普及率が高いエリアに行けば状況は少し違うかもしれません。

しかし、私が普段見ている地方の一般的なマンションでは、

充電スタンドの蓋が一度も開かないまま、ただのオブジェ化しているのをことも少なくありません。

 「せっかくの専用設備なのに宝の持ち腐れだなー…」と思ってしまうのですが、これもマンションの運用面を考えると仕方がない。

どうしても機械式駐車場を維持していくには多大なコストがかかります。数年ごとの消耗部品の交換や塗装など、多額の費用が飛んでいく”金食い虫”なんて呼ばれますからね。

機械駐のメンテナンス費用に関しての記事はこちら👇

機械式駐車場のEV充電ってどうなの?メンテナンス員が感じる現状と今後の課題

そんな中で、いつ現れるか分からない「EVに乗る人」を待って、「空き」にしておくのは経営的には機会損失ですよね。

ガソリン車であっても誰かに毎月使ってもらい、駐車場代としてしっかり運用コストを回収する方が管理組合としては圧倒的に合理的。

「空き区画にして赤字を垂れ流すくらいなら、まずは埋めなきゃ!」というわけです。

理屈はすごく分かりますし、正しい判断だと思います。ただ、一度も使われた形跡のないピカピカの専用設備をメンテしていると、

「まだまだ国の理想と現場の需要が全然マッチしてないなぁ」

と少し複雑な気持ちになるのもリアルなところです。

■ 既存設備への「後付け」は進んでいるのか?

では、ここからは設備の導入事情について深掘りしていきましょう。

現在、すでに建っているマンションの機械式駐車場に、後からEV充電器をつける「後付け」は進んでいるのでしょうか?

結論から言うと、私の感覚では現場では「想像以上に進んでいない」のが実態です。

これには大きな壁がいくつかあります。 まずは

「電気容量の壁」

マンション全体の電気容量には上限があり、EV充電器を何基も後付けすると、夏の夕方などにマンション全体が停電してしまうリスクがあります。

いわゆるキュービクルと呼ばれる電源設備の増築が必要になるそうです。これもなかなかのコスト増になりそう。電気設備屋さんがいれば相場を教えてください!笑

そして

「設備サイズと機種タイプの壁」

配線を何メートルも引っ張ってきたり、パレットを改造したりする事を考えると設置の可否に条件があると思っています。

例えば、パズル式で見かける

「ショートパレット」と呼ばれる極めてコンパクトなパレットを使っている機種。

タイヤ止めまでがパレットになっていて、後方から車のリア部品がはみ出しているタイプです。

メーカーさんに聞いたところ、コスト削減に最適かつ安全面も問題無しで流行りのパレットだそうな

このタイプだと充電スタンドを設置するスペースがないので難しいと思います。

あとは、後述しますが、タワー式やエレベーター式の駐車場ですね。

ただでさえ、お金のかかる駐車場に、「一部の人のために修繕積立金を使うのか!」となりがちで、管理組合の総会で否決されてしまうケースをよく聞きますね。

私の本音を言えば、

充電設備増設よりも費用をかけるべき部品を抱えている物件が多いのが現実かなと思います。

■ 現場からの証言!「タワー式」への導入は見たことがない

前述してますが、機械式駐車場の「種類」によっても、導入のハードルは劇的に変わると思います。

私がメンテナンスをしている現場で、EV充電設備が導入されているのは

「昇降式(ピット式)」と「パズル式」のみです。

タワマンなどの大型マンションやでよく見る、車が観覧車のように回ったり、エレベーターのように高く上がっていく「タワー式(垂直循環方式やエレベーター方式)」に充電設備が導入されているのは、私は今まで一度も見たことがありません。

理由はシンプルに、 タワー式は、車を載せたパレットが縦横無尽に、しかも高速で長距離を移動して、車の前後の向きを旋回して変えるタイプもあります。

そんな複雑な動きをする鉄の塊に、電気を送る太いケーブルを安全に繋ぎ続けるなんて、物理的に無理があるからだと思います。

ケーブルが絡まったり何かに引っかかって断線したりするリスクが桁違いに高くなります。

もし皆さんのマンションがタワー式の駐車場なら、現状では各パレットへのEV充電設備の後付けは「ほぼ無理では?」と考えておいた方が良いかもしれません。

とは言え、日本の各メーカーさんの技術力は高いのでテクノロジーの発展で劇的に変わるかもしれませんね。環境への配慮が大企業の至上命題になると考えられるので本気で開発を進めていって欲しいです。

■ 「1階(地上段)」や「一部の段」だけEV対応になりがち

ここまで、後付けについて書きましたが、

新築マンションでは、最初からEV充電設備がついていることが増えてきました(標準化の波ですかね)。

しかし、ここでも現場目線で見ると「あるある」な特徴があります。

それは、「1階(地上段)」や「特定の数区画」だけがEV対応になっているケースがほとんどということです。全区画で充電できる機械式駐車場は、私はほぼ見たことがありません。

全体の10パーセントほどが設置パレットって比率ですかね。※(某電力会社さんの駐車場は10年以上前から全パレットで充電可能になっていました。凄いぞデンコちゃん

まあ、理由はこれまで散々説明した「配線(ケーブル)の取り回しの限界」ですかね。

地上段であれば、すぐ近くの壁や柱から電源を引っ張ってきやすいです。

しかし、地下深くに潜っていくパレットや、上段に上がるパレットにまで電源ケーブルを這わせようとすると、パレットの動きに合わせてケーブルが伸び縮みする複雑な機構が必要になります。

これはコストが跳ね上がるだけでなく、断線リスクも高まるため、メーカー側も「とりあえず地上段だけ」という設計になりがちなんです。

結果として、マンション内で「数少ないEV対応区画」を巡って争奪戦が起きたり、前述のようにガソリン車が停まっていて使えなかったりという事態が発生しています。

■東京都ではEV充電設備の補助金がある!でも設置できるとは限らない

ここまで読むと、

「機械式駐車場にEV充電設備を付けるのって、かなり難しそうだな……」

と思う方も多いかもしれません。

ただ、東京都に限って言えば、EV充電設備の導入に対する補助金はかなり手厚いです。

東京都の「充電設備普及促進事業」では、マンションなどの集合住宅に居住者用のEV充電設備を設置する場合、充電設備本体や設置工事費が助成対象になります。さらに、機械式駐車場向けの項目も用意されています。

特に機械式駐車場まわりで注目したいのは、このあたりです。

※以下は東京都の補助制度の一例です。年度や申請条件によって内容が変わるため、実際に検討する場合は必ず東京都・クール・ネット東京の公式情報を確認してください。

東京都 EV補助金

機械式駐車場に充電設備を新たに設置するため、パレットの大型化などの改修工事が必要になる場合、パレット更新経費として上限140万円/パレットまで補助対象になる場合があります。これは機械式駐車場目線ではかなり大きいです。

さらに、将来的に充電設備を設置するための先行配管工事も対象になっていて、通常は上限7万円/区画ですが、機械式駐車場の場合は上限30万円/区画まで見られる項目があります。

つまり東京都では、

「今すぐ全区画に充電器を付ける」

だけではなく、

「将来EV対応できるように、先に配管だけ準備しておく」

という考え方も補助金の対象になり得ます。

これは管理組合としてはかなり検討しやすいポイントだと思います。

最近は、機械式駐車場メーカーやEV充電設備業者でも、補助金を活用した提案を行っているところがあります。気になる方は、まず現在契約している保守会社や管理会社に相談してみるのが現実的だと思います。

戸建てなら、太陽光・蓄電池も選択肢になる

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ここまでマンションの機械式駐車場を中心に話してきましたが、戸建ての場合は条件が少し変わります。

戸建てなら管理組合の合意形成やパレット構造の制限がないため、EV充電設備を検討しやすいケースがあります。

さらに、自宅でEVを充電するなら気になるのが電気代です。

太陽光発電や蓄電池を組み合わせることで、昼間に発電した電気を使ったり、停電時の備えとして活用できたりする場合があります。

もちろん、すべての住宅に向いているわけではありません。

屋根の形、日当たり、築年数、電気使用量、住まいのエリア、建物の条件によって向き不向きがあります。

また、補助金についても条件や予算枠があるため、必ず受け取れるものではありません。

なので、戸建てでEV充電や太陽光発電・蓄電池を考えている方は、まず自宅に合うかどうかを相談してみるのが現実的です。

※対象は、サービス提供エリア内の戸建て住宅にお住まいの方向けです。

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■ まとめ:設備導入=即解決ではない。マンションの実態を知ろう!

今回の内容をまとめます。

約9割の現場で「EV設備にガソリン車が停まっている」。空き区画の赤字を避けるため合理的な判断だが、需要とのズレが起きている。

✅既存マンションへの「後付け」は、電気容量やコストの壁で難航しがち。

✅「タワー式」への導入は構造的に無理があり、現場でも見たことがない。

✅配線の問題から「一部の段だけEV対応」になりがちで、争奪戦になりやすい。

✅東京都ではEV充電設備の補助金があり、機械式駐車場の先行工事やパレット更新経費まで対象になる場合がある。

✅戸建ての場合は、マンションとは条件が違い、EV充電・太陽光・蓄電池をセットで検討しやすいケースがある。

これからEVへの乗り換えを検討しているなら。あるいは管理組合で導入を検討しているなら。

「補助金があるから」
「これからはEVの時代だから」

と安易に飛びつかずに

  • マンションの駐車場がどのタイプなのか。
  • そして、本当にそれを使う人がいるのか。
  • 設置後も安全に運用できるのか。

ここをしっかり見極める必要があります。

補助金は「設置費用」を助けてくれる制度であって、「設置後の運用トラブル」まで消してくれるわけではありません。

皆さんのマンションでは、EV設備の導入についてどんな話し合いがされていますか?

「うちは後付けできたよ!」
「補助金を使って検討しているよ」

など、リアルな声があればぜひコメントで教えてください!

それではご安全に!

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